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たかが世論調査、されど世論調査 [マスコミ]

日経新聞 2011,12.04 朝刊P2
「米に親しみ」最高82% 内閣府調査」

写真 (7).JPG


この内閣府の調査、毎年やっているらしいことに注目です。
同じ手法でやると、トレンドが見えてくるので、隠れたテーマが
浮彫りになってきます。

「『中国に親しみを感じる』は6.3ポイント増の26.3%とやや改善した」
というのが記事の主張。

確かに前年比はそういうことなのでしょうが、
2009年のデータが40%近い(内閣府HPを見ると38.5%)ので
尖閣諸島後の中国への「親しみ」はまだまだ回復していない、と
いう解釈もできます。

要はどっちを強調したいか、で統計の解釈が変わり、
記事のトーンも変化するので注意したいですね。

また、このデータを見て、
2001年ごろは、中国にも韓国にも50%ぐらいの人が「親しみを感じる」
と答えていたのに、
その後、韓国は上昇トレンド、
逆に中国は下降トレンドになっています。
ここにより大きなテーマが見えてくるように思います。
 
韓国が上昇トレンドにあるのは、韓流ブームとの関連が深いように思います。
 
韓流ブーム
・2002年のFIFAワールドカップ共同開催
・2003年4月 - 9月、NHKBS2『冬のソナタ』
・2004年から本格的な韓流ブーム
・2005年後半頃から円安ウォン高傾向に伴い韓流ブームの衰え
・2005年ごろから東方神起などのK-POPのアイドルグループが日本で活動
・2010年ごろ 少女時代やKARA

軍事力や経済力に依らずに、文化や価値観などの魅力によって、
国際社会からの信頼や発言力を高めることをソフトパワーといいますが、
近年の韓国は、そうしたソフトパワーで
日本人の韓国イメージを好転させてきています。

また、韓国に対する上昇トレンドを世代別に分析されている方がいます。

図録▽韓国に対して親しみを感じる人の割合の推移(年齢別)

どの世代も上昇トレンドを示していますが、
若い世代ほど「親しみ」のレベルが高いのがわかります。
これは、一国のイメージが固定的に継承されず、変
化していく注目すべき現象です。

一方の中国の下降トレンドはなぜ起きているのでしょうか。

ここで、先ほどの方が分析されている、より長期のデータを見てみましょう。


図録▽米国・中国・韓国への親近感の推移

これを見ると、中国の下降トレンドのターニングポイントは、
1989年(平成元年)6月4日の天安門事件にあることがわかります。

その後は、
  • 中国原潜の領海侵犯、
  • 中国政府による小泉首相靖国参拝批判
  • 2004年のサッカー・アジア杯での中国人観衆の反日的言動
  • 2005年の反日デモ、小泉首相靖国神社参拝問題、東シナ海ガス田開発、中国の軍備増強
など、さまざまな要因で下降トレンドになっているようです。
天安門事件後、中国は愛国教育に軸足を転じたといわれます。
その影響が、その後の中国の対日観、そして日本の対中観に影を落としている、
と見ることもできるのではないでしょうか。

今年の12月8日は、対米開戦から70年の節目のタイミングです。

相手を良く知り、単なるイメージで判断せず、
軸をしっかりもってつきあう覚悟がないと、
大きな過ちをおかし、多大な犠牲を払うことになる。

歴史はそのことを教えてくれています。
たかが世論調査。されど世論調査。
知らない、関係ない、では済まされないな、と反省・・・

 

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